
松永 りえ
生まれも育ちも熊本で、現在は「防災収納インストラクター」として活動しています。そのきっかけとなったのが2016年の熊本地震です。わが家は震度6強に見舞われ、テレビは倒れ、ペンダントライトは割れ、ガラス雑貨は割れて粉々になりました。当時は整理収納アドバイザーとして活動していましたが、いわゆる暮らしのプロとして活動しながら、子どもたちを危険にさらしてしまったことへの後悔と、これまで自信を持って活動してきたことが崩れ去ったような情けなさに涙したのを覚えています。
ただ、いま思い返すと当時目指していたのは見た目や機能性を重視した、おしゃれな暮らしでした。「モノは多くないから大丈夫」と思っていましたが、命を守るための最も大切な安全対策や備蓄は、まったくできていませんでした。(水の確保に翻弄することになります)
その反省から、防災を学び、試行錯誤しながらたどり着いたのが、片付け・安全対策・備蓄の3つを柱とする「防災収納」という考え方です。
幸か不幸か、先日の令和8年熊本地震でもわが家は再び震度6強の揺れを経験しましたが、キッチンの引き出しが飛び出たくらいで、何も倒れず、割れることもありませんでした。まさか10年後に答え合わせする日が来るなんて思ってもみませんでしたが、防災収納の考え方や方法が間違ってなかったことの証明になりました。
今回は「防災収納」の具体的な方法をお伝えします。
片付け:不用品を減らし、命を守る土台をつくる
防災収納のすべての土台となるのが片付けです。
家の中にモノが多いとそれだけで危険につながります。地震の際に、凶器となって襲いかかり、避難経路は塞いでしまいます。また、片付けの労力もモノの数だけ必要になります。
「スペースがなくて備蓄ができない」と悩む方のほとんどは、不要なものを見直すだけで解決します。まずは不用品をしっかりと整理し、家の中のモノを適正量に減らすこと。ゴミ1つ捨てるだけでも防災!という意識で進めてほしいと思います。

安全対策:倒れない・落ちない・移動しない!
棚が倒れてケガをしたり、下敷きになってしまったという被害は、今回の地震でも多く耳にしました。家具をしっかり固定することは大事なことです。ただ、安全対策は、片付けが終わって次の段階で行うものです。そもそも、その棚が不要なものでパンパンだとしたら、安全対策するより撤去したほうが圧倒的に安全です。本当に必要なものだけになった上で、安全対策を講じるのがベストな方法です。
代表的な安全対策は、テレビや冷蔵庫の転倒防止ベルト、L字金具などでの棚の固定など、たくさんありますが、倒れない!落ちない!移動しない!という視点で家の中を見回してると、危険な場所が見えてきます。※移動とは、キャスター台などのスイスイ動くもの

備蓄:普段も災害時も使えるもので暮らしをつなぐ
防災を始めるとき、どうしても備蓄から手をつけたくなりますが、モノがあふれた家にさらにモノを増やすのは危険です。片付けを済ませておけば、何がどこにどれくらいあるのかが明確になり、無駄な出費も減ります。そして、片付けによって生まれたスペースに備蓄できるので無駄がありません。備蓄は、順番で言うと最後なのです。
災害が起きて、物流やライフラインがストップしたとき、最も困るのは水・食料・トイレでした。少なくとも1週間分は自分で備えておく必要があると強く感じます。
ここで大切なのが、防災グッズを「普段も災害時も使えるもの」にすること。特別な非常食や防災専用グッズを買って押し入れにしまい込むのではなく、普段から使ったり食べているものを少し多めに買ってストックし、使ったら買い足す「ローリングストック」を習慣にすると災害時も安心感があります。また、アウトドア用品や、日常に溶け込むアイテムなども、いざという時にそのまま活躍します。日常の暮らしの延長に防災があると捉えることで、特別に買い揃える必要もなくなり、災害時でも食べ慣れた食事や使い慣れた道具に囲まれて、心と体の安心につながります。

まとめ:片付けが命を救う
「こうしておけばよかった…」「いつかやろうと思ってた…」今回の熊本地震でもよく耳にしました。本当に、先延ばしにしてるうちに、災害はやってくるのだな、と思い知らされました。
これから防災を始める方も、すでにやってるという方も、はじめらから完璧な防災を目指すのではなく、まずは①片付け②安全対策③備蓄という順番で、自分の場所からスタートしてみてください。

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