防災リュックをそろえても、まだ備えは終わりではありません。避難所は「たどり着けばゴール」ではなく、そこから数日を過ごす「生活の場」です。
この記事では、子連れのママが避難所で困りがちな場面を、着いてすぐの対応から、乳児・幼児・小学生それぞれの過ごし方、マナーや迷子対策まで順番に解説します。
避難所に着いたら、まず押さえたいこと
避難所に到着した直後は、一番頭が回らない時間です。だからこそ、「着いたらこの4つ」を順番にやると決めておくと動きやすくなります。
- 受付で家族全員の名前を書く
避難者名簿は、安否確認や家族を探すときの基本情報になります。あとで家族や親族に伝えられるよう、自分たちの滞在場所(区画・番号)も控えておきましょう。 - 濡れた服は早めに着替える
雨や汗で濡れた服は、体温をどんどん奪います。着替えは子どもから先に。都市型内水氾濫の記事でお伝えした「濡れた後の着替え」の出番はここです。 - 水分と食事を確保する
配布が始まるのをただ待つのではなく、配布の時間や場所を早めに確認しておきましょう。乳児がいる家庭は、ミルクや離乳食が必要なことを受付で伝えておくと安心です。 - 「うちの場所」を決める
レジャーシートや段ボールを敷いて、家族の一角を作ります。荷物は一か所にまとめ、目の届く場所に置きましょう。
子連れの場合に覚えておきたいのは、着いた直後の子どもは慣れた場所を失い、不安が一番大きくなっているということ。上の4つを済ませたら、子どもと過ごす準備を整えていきましょう。
【乳児】授乳・おむつ・睡眠の対応
日本産婦人科医会の災害時の支援資料では、避難所で過ごす乳幼児の支援のポイントとして、授乳・体温保持・清潔・睡眠が挙げられています。知っているかどうかで、避難所での数日が大きく変わる内容です。
授乳について
- ストレスで一時的に母乳が出にくくなることがあります。不足分はミルクで補いながら、安心して授乳できる空間を確保することが大切です。授乳スペースの設置を、避難所の運営側に相談してみましょう。
- 粉ミルクを溶かす水は、軟水を使います。ミネラルの多い硬水は、乳児の消化に負担がかかるおそれがあるため避けましょう。日本の水道水や国産のミネラルウォーターは、ほとんどが軟水です。
- 粉ミルクは70℃以上のお湯で溶かすのが基本です。お湯が用意できない事態に備えて、調乳が不要な液体ミルクも備蓄しておくと安心です。
- ミルクは授乳のたびに作り、飲み残しは処分します。
- 哺乳瓶が使えない場合は、清潔な紙コップなどで飲ませる「コップ授乳」で代用できます。
おむつ・清潔について
- おむつ替えや沐浴が十分にできないと、おむつかぶれが起こりやすくなります。短時間おむつを外して、お尻を乾かす時間を作るだけでも違います。
- アルコール入りのウェットティッシュは、肌の弱い子はかぶれることがあります。赤ちゃんの体を拭く用には、ノンアルコールのものを用意しておきましょう。
- おむつが手に入らないときは、ポリ袋の内側にタオルを当てて代用する方法もあります。ただし、あくまで応急の方法なので、おむつは多めに備蓄しておくのが基本です。
睡眠・体温について
- 乳児の体温は、周りの気温の影響を受けやすいもの。寒いときは、大人が抱っこして肌を寄せ、毛布などで一緒に包むと温まりやすくなります。暑いときは、汗をかいた肌着をこまめに替えましょう。
泣き止まないときは、一人で抱え込まない
避難所で子どもが泣き止まず、周りに気を遣ってしまうのは珍しいことではありません。一人で抱え込まず、同じ子育て中の家族と声をかけ合ったり、ボランティアに子どもの遊び相手をお願いしたりするのも、立派な対処法のひとつです。
【幼児・小学生】心のケアと過ごし方
言葉が通じる年齢になると、気になるのが「心のケア」です。ユニセフは、災害時の子どもの心のケアを4つのポイントにまとめています。
| ポイント | 具体的にすること |
|---|---|
| 「安心感」を与える | いつもよりスキンシップを増やす。「ここは安全だよ」「ママはここにいるよ」と、短く・穏やかに・正直に伝える。不安な話は途中でさえぎらず、最後まで聞く |
| 「日常」を取り戻す | 食事・歯磨き・着替え・睡眠の時間を、できる限り普段どおりに。安全な場所なら、遊びの時間も意識して作る |
| 被災地の映像を繰り返し見せない | 幼い子どもは、映像を見るたびに「今また起きている」と感じてしまうことがあります。普段のテレビ番組や好きな動画に切り替えましょう |
| 自ら回復する力を信じて見守る | 甘えが強くなる、眠れない、イライラする、おねしょをするなどの変化は、一時的な自然な反応です。長く続くようなら専門家に相談を |
言葉では安心できても、慣れない環境では夜が怖い子も多いもの。寝る前の歯磨きや読み聞かせなど、家での習慣を避難所でも続けることが、いちばん手軽に「日常を取り戻す」方法です。
また、安心させたいあまり「もう大丈夫」と言い切るよりも、「ここは安全だよ」「パパもママもここにいるよ」と、事実を伝えることが大切です。答えに詰まったときは、「わからないけど、一緒に様子を見ようね」と正直に伝えて構いません。
避難所でのマナーと、子どもが落ち着くための工夫
避難所は、多くの人の共同生活の場です。ルールを知らないと、「迷惑をかけたくない」と親が気を張りすぎてしまいます。基本のマナーと、子連れならではの工夫を押さえておきましょう。
- 土足禁止のルールを守る
避難所でも、生活スペースは上履きやスリッパが基本です。子ども用の上履きも、リュックに入れておきたいもののひとつです。 - 音の出ないおもちゃを用意する
電子音の鳴るおもちゃの代わりに、絵本やパズル、折り紙などがおすすめです。 - キッズスペースを探す・作る
内閣府の避難所運営ガイドラインでは、子どもの遊び場「キッズスペース」の設置が推奨されています。避難所にない場合は、運営の人に相談してみましょう。 - 消灯後は耳栓・アイマスクで対応する
避難所では、明るいと眠れない人と、暗いと眠れない人が一緒に過ごします。家族分の耳栓とアイマスクは、場所を取らずに効果の大きい備えです。 - 段ボールやレジャーシートで「うちの場所」を作る
床の冷えや硬さの対策になるほか、仕切りでプライバシーを確保することは、防犯の面でも役立ちます。 - 走り回りたがるときは「発散できる場所」へ
叱るより、外の広い場所で遊ばせたほうが、結果的に落ち着いて過ごせます。子連れ同士で、遊びに連れ出す役を交代するのもよい方法です。
迷子・防犯への備え
避難所には、知らない人が大勢集まります。盗難や、子どもへの不当な声かけ・接触などのトラブルが起こることもあるため、次の3つを「家族のルール」にしておきましょう。
- 名前と連絡先を持たせる
子どものポケットや名札に、家族の名前と電話番号を書いたメモを入れておきます。上着の内側に油性ペンで書いておく方法もあります。会話ができる年齢なら、家族の名前と集合場所を言えるように練習しておきましょう。 - ホイッスルを身につける
声が届かない距離でも、ホイッスルなら居場所を知らせやすくなります。「遊びで鳴らさない」という約束とセットで持たせましょう。 - 知らない人について行かない
災害時は、「お水をあげるよ」など、親切を装った声かけにもついて行きやすくなります。「どこかに行くときは、必ずママに一言」という約束を、普段からゲーム感覚で繰り返しておきましょう。
ママ自身のケアも、忘れないで
ここまで子どものことを中心にお伝えしてきましたが、避難所で先に体調を崩しやすいのは、頑張りすぎた保護者です。
- 水分を我慢しない
トイレが遠いからと水分を控えると、体調を崩す原因になります。特に産後間もない方は、血栓(エコノミークラス症候群)のリスクが高まるため、こまめな水分補給と、足の曲げ伸ばしや軽い散歩で血流を保ちましょう。 - 「ママの着替え」も用意する
子どもの分だけ用意していませんか? 肌着・靴下・温度調節できる上着まで、親子ともに着替えを用意しておきましょう。 - 休む順番を家族で決める
子どもが寝たら、ママも休むのが基本です。荷物番や見守りを交代できる相手(家族や避難所で知り合った人)がいると、休息の時間を確保しやすくなります。
避難所生活に役立つSONAENOアイテム
この記事で紹介した「避難所で困りがちなこと」に役立つ、SONAENOのアイテムをご紹介します。
「睡眠」「プライベート空間の確保」「貴重品の管理」など、避難所で困りがちなことを、防災のプロの目線で解決。日本の災害を想定し、日本の防災の専門家とともに、避難生活で必要な機能を詰め込みました。
被災した女性たちの声から生まれた、避難生活のための防災ワンピース。服の中で着替えたり体を拭いたりしやすく、人目が気になる場面にも配慮しました。抗菌防臭・吸水速乾素材を採用し、フードに収納すればコンパクトに持ち運べます。一般社団法人 防災安全協会の「防災製品等推奨品マーク」を取得しています。
普段はかわいいキーホルダー、もしものときは助けを呼ぶ防災ホイッスルに。約100dBの大きな音と、聞き取りやすい約4,000Hzの音域で、災害時に周りへ居場所を知らせやすくします。スマホやバッグに付けて、日常の中で無理なく備えられます。
防災リュックの準備は、家族が避難所で安心して過ごすための第一歩です。避難所で過ごす数日間まで考えておくことで、「備え」はより確かなものになります。この機会に、避難所での過ごし方も家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。







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